親しみを感じ温かみのある空間づくり。

Client Sincère | シンシア
Location 東京都渋谷区千駄ケ谷
Construction Interior Design
Total Area 70㎡/21坪
Year 2016.4

 石井シェフとは物件探しからずっとご一緒させてもらいました。

 なかなか理想的な物件に出会わず1年という期間がかかりましたが、その分、石井シェフの想い、人柄を知る事ができ結果的に大きくデザインに活かすことができた。
 料理を作っている石井シェフは古武士のように真剣に黙々と仕事をされています。その印象とお話したときの楽しい印象のギャップが面白く、そんな石井シェフのすべてを感じられるレイアウトを検討することから始めました。
 高級フレンチの緊張感よりもどこか家庭的で温かみのある親しみやすい内装にしようと考えましたが、驚きを与えるスパイスは効かせました。『魅力を感じるギャップ』をコンセプトに。

オープンキッチンでも心地よい距離感を保つ客席とは?

 地下へ降りる階段を降りてくる際に、客席の楽しそうな雰囲気を感じさせつつ、モルタルを塗った重厚な扉を開けるといきなり厨房に入り込みます。
 トイレに近い席、入り口に近く扉を開けるたびに冷気が入ってくる席は、いわゆる『死に席』となってしまう。席数の少ない店舗では致命傷になってしまうので、それを回避する方法として入り口のそばに厨房をもってきました。
 結果的にそうすることでフロントに人を立たせる必要がなく、厨房スタッフが調理をしながらお客様をお迎えできるという利点も生まれました。
 厨房の中を抜けるように客席に案内するのですが、厨房と客席の境を曖昧にさせるために床材には大理石モザイクを両空間に敷き詰め、曖昧になった境界のおかげでお客様と厨房スタッフとの距離感を縮めることができたのです。温かみがあり程よい距離感の新しいスタイルのオープンキッチンを提案することができました。

works L’EAU | ロー