世界で勝負するためには日本をより意識しなければいけないと考え、『和』ではなく『日本』、日本的な考え方でデザインをまとめることで、フランスのマネではなく日本発信のフレンチレストランを表現しました。
また当時珍しかったオープンキッチン+カウンターでのレイアウト。そのカウンター材を何にするか?高級店といえば『無垢の木材』『石材』になるのですが、カウンターの繋ぎ目を作ることを避けるため、これも当時珍しかった『コンクリート』という選択をし、結果的にこの大きな『コの字』カウンター越しに見えるオープンキッチンの調理風景が『劇場型』と呼ばれるようになりました。
内装の素材もそうですが、椅子、テーブル、照明器具などすべてオリジナルで、フロリレージュのためにデザイン・製作しました。全ては世界で勝負するために。
完成から3年後のある日、とても嬉しい報告がありました。FlorilegeがAsia's 50 Best Restaurantsに初めてランクインしたのです。そのときの川手シェフの言葉は今でも私の宝物です。「まだ、約束は守れていない。目標は世界だから。でも、確かに世界で勝負できるお店をつくってくれてありがとう」。
いやいや、お礼を言いたいのはこちらの方です(笑)この仕事では、本当にたくさんの学びがありました。そしてかけがえのない出会いもたくさんありました。設計・デザインには「かっこよさ」以上に大切な価値があるということ。想いの強さや大きさが設計・デザインの質に直結するのだということ。世の中にはまだ見ぬ素材や天才的な技術、そして飛び抜けた知識と経験を持つ変態的な職人たちがいるのだということ。そして、何よりも“共感”することの大切さと強さを知ることができました。
私たちはまだまだ無限に成長できる。そう確信できたEsquisseの記念すべき実績第一号のお話です。